善竹富太郎さんのこと、2020/05/02

 昨晩、友人からのメールで善竹富太郎さんがコロナ感染による敗血症でお亡くなりになったと知らされました。 まだ40歳の若さでした、善竹十郎先生ご一家とカスヤの森現代美術館の繋がりは、もう十数年になります。横須賀にお住まいの観世流能楽師であった鈴木佐太郎先生から、とても人柄の良い方だから自分が例年行事としてやっている筍園遊会での「お謡」や新年を祝う「翁」を自分が出来なくなったので、善竹先生にお願いしてみてはどうかと勧めてくださったのです。 そして快く引き受けてくださった善竹十郎先生は毎年カスヤの森現代美術館の4月の筍園遊会には、ご一家お揃いで来てくださって狂言についての解説をとても分かり易くとても楽しく話してくれるので大人気でした。
そして新年には十郎先生に富太郎さん、大二郎さんの二人を加えて三名の演者で仕舞を舞ったり、初心者相手に「四海波」を一節一節づつ丁寧に教えてくださって、最後にはなんとか謡に聞こえるほどにご指導いただきました。
狂言にオペラを組み合わせたり、民族楽器を取り入れたり新風を吹き込むことにもとても熱心でした、狂言を普及させる会も各地で開催してこれからの伝統ある狂言界の牽引車となる方でした。 体格も立派で声もよく通って、いつも楽しい会話が弾んでいました。私の作った筍の姫皮入り卵焼きを絶賛してくれたのも富太郎さんでした。 善竹十郎先生にとっては伝統ある道を引き継いてくれる大事な大事な後継者です、悲しみはとてもとても計り知れません。 心よりご冥福をお祈り申し上げます。