現代詩より2023/11/02

現代詩  若江漢字
POEM 1970-2020


<パレスチナ>    2002年5月作



かって最高の叡智が示された大地で
ハリネズミ達がまた騒ぎ出す
己の不足を先住民押しつけ
偽りの舞踏を荒地で踊る


貧弱な送風機から
ヘブライ語のEメールが走り出て
荒地に土嚢を運んでも
命によって支払われる不経済な手形が
占領地で増殖し続けるだけだ


カラカラの大地に
無遠慮に捨ておかれた鋼鉄車両
砂嵐を押し止めながら
サビ色の演歌を唄う


遠い遥かな過去が利益を生み出し続け
鏡の外にはみ出た風景が
不毛の大地となった砂漠で
不遜にも警鐘を鳴らす


新世紀が開けたばかりの中東の
キツネ達
民族宗派のいわれなき業
きのうの被害者たちが喜々として
今日の加害者となる
因果な熱砂 砂礫の覇権


2021年10月1日出版 「現代詩」より

現代詩より2023/11/03

続いて詩集「現代詩」ー存続する日常ーより

<エルサレム>

かたくなな信仰が爆薬となった時
聖地は丸ごと墓標となる
地上に三つも一神教が存在することの矛盾
不幸な聖地
かたくなな信仰が他者に何をしてきたか


2004年・神奈川県立鎌倉近代美術館の若江漢字展に出品

現代詩より2023/11/04

《預言》


見よ!
ゴクとマゴクとが
手を結び 動き始めた
終わりの日は間近だ
中東が世界となる
これまで見たことのない術策が
目の前に出来する
あわてることはない
預言が成就するのだ
全てがゲームだったと
忘れていただけの事だ
気がつけばゲーム
ゲームオーバー
この世のシステムが終了する

           1980年代作
以前にはゴクとマゴクはロシアと中国と言われた。

初冬のカスヤの森2023/11/12

 この夏の暑さをまだまだ昨日のことのように憶えているのに・・・ あれから一転、今日の竹林はひっそりと冬の訪れを待つかのように静まっていました。

時折聴こえるシジュウカラやメジロ、ヒヨドリの通る鳴き声がますます澄んで流れるようです。
入り口の看板にカラスウリのアクセサリーが・・・
お茶の花も今が盛りです。
今日の雨がキスゲに白露になっています。
万両も色づいて来ました。

松澤宥展の準備中です。2023/11/26

 初冬の雨が枯れた草木を濡らしています。
いよいよ今年最後の展覧会、そしてカスヤの森現代美術館開館30周年記念展の第一回展が始まります。 30年前にスタートし、翌年1995年に第一回企画展として松澤宥一作展「量子芸術宣言」を開催しました。
それからおよそ30年、松澤宥さんの評価はますます高まっています。 今回は1995年、2002年の2回の当館での作家の写真や映像、1986年「神奈川芸術−平和への対話展」でのパフォーマンス写真などを展示。
文字や文章と共に作家の表情から伝わるコンセプトに魅せられます。