カスヤコレクションのこと2025/06/13


6月1日から企画展として当館所蔵作品を展示しています。 新規購入の作品も含め主に1980年代ころの作品になります。
中でも今私たちが直面している世界の多くの危機的な出来事と同じ事態をアーティストとして受け止め作品制作していたこと、作品が訴えることは今の私たちに少なからず考える契機となると思います。
出品作品の中でカール。シャーパァー(1920−2008)作「ノアへの手紙」 はアララト山に漂着したノアへ平和の象徴であるオリーブを咥えた鳩を送り返した封筒があります。この作品を制作した1975年にはまだ平和が実現していないからという失望感が表れています。
カール・シャーパァーはヨーゼフ・ボイスとデュッセルドルフの美術アカデミーで同期生でした。舞台美術や詩作などとても優しい心を待って制作していました。 他にもギュンター・ウッカーのポスターも今のウクライナの惨状と全く同じ既視感があります。



こららの作品は1986年に若江漢字さんたちが企画実行した展覧会「芸術-平和への対話展」横浜・大倉山記念館にドイツから出品された作品の一部です。 シャーパーさんが制作した1975年から50年が経ち、日本でも昨年戦後80年という節目でもありました。 人間の尽きない欲望の前に平和を望むことってできるのでしょうか。